近江商人「三方よし」に学びましょう
近江商人というと何を連想しますか。口がうまくて「なべぶた」を売りつけるあくどい商売で大儲けする商売人?? いえいえ、まさに真逆、今こそ彼らに学ぶべきと言っても過言ではないほどの大変な精進と信念を持って日本の近代経済を支えた偉人達なのです。
1988年の映画「てんびんの詩」では裕福な近江商人の息子が「なべぶた」売るまで家に戻ることができない厳しい商人修行の様子が描かれ話題になりました。この映画は企業や学校の教育研修教材にも利用されているのでご存じの方も多いかもしれません。
近江の国(滋賀県)は東海道、中山道、北国街道など中世より主要街道が通り、さらに琵琶湖が水路ともつながり、農産物、海産物、織物、材木などありとあらゆる物流の拠点でした。江戸時代になると、商人の活動は全国にも及び、その流れは現代にも続いています。
このような地理的環境から近江商人の流れを汲む企業は流通系、商社系が多く、西武グループ、高島屋、伊藤忠商事、丸紅、トーメン(現豊田通商)など。また、繊維系では女性下着のワコール、ふとんの西川など現在も多くの著名企業が活躍しています。
「売り手よし、買い手よし、世間よし」この標語を基に活動していく近江商人は、とても仁徳あふれる人々です。売り手と買い手の同意の他、世間によい影響を与えることをモットーに商売をしていました。現在でいう所の企業の社会的責任です。昔よりこの考えがあったとは驚きですね。この偉大な近江商人の語録をご紹介します。
陰徳善事(見返りを期待しない功労)
陰徳とは、売名行為の類ではなく、人知れず人の為になるような行為を言います。近江商人が行ったものには、神社仏閣への寄進、橋の架け替え工事等々、数多くあります。
お助け普請(公共事業・環境整備への参画)
近江商人は地場産業の育成や地域の活性化があってこそ商いが行えました。よって、お互い様という観念や地域への貢献を疎かにすることはありませんでした。今で言う公共事業的なものを率先して実施しています。
押込隠居(悪徳経営者の更迭)
先祖の苦労の賜物により今日の繁栄があるのであって、主人としてはわずか30年ほどの間、奉公する身と思い、家業を守り商いの繁栄に勤めるようにと伝えています。店の運営も、店と個人(主人)は別々のもので主人の私有財産ではないと考えられていたため、独断で物事の決定は行われず、今で言う取締役会で開かれていました。
よって、不的確な人物なら主人の座を追放や相続権の剥奪等の事例もあります。
近江商人は自分の事ばかりではなく、周りの事を思って行動する人たちです。現代を生きる我々も見習うことで、もっと素敵な社会が生まれていきます。
この近江商人のお膝元に郵船トラベルが贈る2021年3月28日発「奥琵琶湖のオーベルジュ“ロテル・デュ・ラク”連泊と若狭海の幸、桜満喫の旅」で訪れます。近江商人に思いをはせながら旅をお楽しみください。
*語録として紹介したのは、近江八幡観光物産協会様のホームページより引用させていただきました。( )内は筆者が加筆しました。