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軍艦島は理想郷だった?! ~日本の近代産業を支えた炭坑と人々の生活探訪~

軍艦島(空撮)©長崎県観光連盟


 鉄橋を渡り、田園風景を走る蒸気機関車、山林に鳴り響く汽笛、黒煙を噴き上げながら激しく回転するピストンの音、郷愁を感じる日本の原風景のひとつでした。蒸気機関車が牽引する定期客車運行は昭和50年(1975)12月の室蘭本線(室蘭-岩見沢間)を走ったC57 135を最後に姿を消しました。その後、蒸気機関車は「SLやまぐち号」など各地で観光列車として運行するこがあります。


SLやまぐち号(C57 1)

 言うまでもないことですが、蒸気機関車の燃料は石炭、火室で発生した燃焼ガスの熱エネルギーで水を沸騰させ、高温高圧を作るボイラーからシリンダーに蒸気エネルギーを送ります。
 電車に替わってしまった蒸気機関車のように、石炭はすでに無縁のモノと思うかもしれません。ですが、現代の日本のエネルギー事情でも重要な担い手であるのです。


 2019年度の日本のエネルギー自給率はわずか12.1%、資源エネルギー庁の「エネルギー源別一次エネルギー国内供給実績」によると、全体に占める割合は石油37.1%、石炭25.3%、天然ガス・都市ガス22.4%で、原子力は2.8%です。つまり現状でも石炭の依存度は高く、主にオーストラリアからの輸入に頼っているとはいえ、様々なメリットがあるが故なのです。まず、コストが安い、常温で固体のため揮発しない、爆発などの危険性もなく備蓄が容易。そしてなんといっても地球全体の埋蔵量が多く、供給の安定性があることなのです。 


黒いダイヤ(石炭)

 かつて国内で採掘されていた石炭は明治時代より日本の近代化に寄与し、鉄道や船舶の燃料、製鉄、製塩などに使用され、“黒いダイヤ”と長年もてはやされてきました。昭和に入り、1950年代に中東やアフリカで大油田が発見され、世界的なエネルギー革命が起こりました。日本でも昭和37年(1962)に初めて石油が石炭を抜いてエネルギー供給の首位の座に就き、日本各地の炭坑も次々と閉山となりました。あれ、いまだに石炭需要があるのになぜ炭坑は閉山したのでしょう?日本は坑内掘りが中心だったので、石油よりも採掘コストがかかる上、落盤事故など危険が伴うからだったのです。


軍艦島(空撮)©長崎県観光連盟


 昭和35年(1960年)、長崎半島南端の沖合に軍艦のような形をした、長さ約480mの小さな島が深夜でも不夜城のようにキラキラ輝いていました。島の名は端島(はしま)、当初の姿は小さな岩礁でしたが、石炭採掘のため明治時代より埋め立て工事が行われ半人工島となりました。その形から軍艦島と呼ばれ約5,300人の住民が東京都の18倍の人口密度で生活していました。当時のエネルギー自給率は驚異の58.1%。いかに石炭採掘が貢献していたかが理解できます。

 彼らが支えていたのは日本一の炭質を誇る「瀝青炭(れきせいたん)」の採掘、3交代制で24時間行われていました。炭坑夫と言えば、過酷な上、貧しい生活環境を想像してしまいますが、島民は当時の日本で最も近代的な生活をしていたのです。


高層RC造アパート57号棟©長崎県観光連盟

 日本初の高層RC造(鉄筋コンクリート)アパートに住み、全国のテレビ普及率が10%の時代に軍艦島では、ほぼ100%の家庭がテレビを楽しんでいました。日本で初めて2本の海底水道が通じ、飲料水も確保され、小中学校、保育所、病院、商店(島内の生協の他、島外からハサミ研ぎ、コウモリ傘修繕、金魚屋なども訪れていました)、プールなどもあり、なんら不自由はありません。
 この他にも映画館、飲食店、パチンコ、麻雀、ビリヤード、囲碁、釣りなども楽しめ娯楽施設も充実、お祭りや運動会、文化祭なども行われ陸上と変わらぬイベントに島民は熱狂していました。この他、この島特有の風物詩に「大波見物」があり、要塞のように強固な島は台風時に高波を楽しむ余裕すらあったとのことで驚きです。これらが故に近代日本の理想郷とも呼ばれていました。


テレビ普及率100%©長崎県観光連盟

 そんな軍艦島も前述のエネルギー革命のあおりも受け、その後衰退し、島民も減っていきました。昭和45年(1970)に鉱命終了期を発表、昭和49年(1974)1月の閉山時には人口は2,000人、同年4月には全員が島を離れ無人島となりました
 建造物の老朽化、廃墟化により、長らく島内の立ち入りは禁止されていたのですが平成21年(2009)より観光客の上陸・見学できるようになりました。そして平成27年(2015)に世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 ~製鉄・製鋼・造船・石炭産業~」として登録されました。現在、軍艦島へは5社が上陸ツアーを実施しています。


軍艦島に着岸するジュビター

 郵船トラベルでは軍艦島コンシェルジュが運航するクルーズ型旅客船「ジュピター」を利用した軍艦島上陸が組み込まれたラグジュアリーバスツアーを企画しました。長崎港から軍艦島へは45分の船旅、上陸後1時間程度、見学通路220mをガイドとともにご見学頂きます。通路外は海上からも周遊し、ご覧いただくことができます。高層アパートはそのまま残されています。かつての賑わいや人々の生活の営みを想像しながら、日本の近代産業を支えてくれた彼らの功績をたどってみてはいかがでしょうか。
*参考資料
経済産業省 資源エネルギー庁 WEBサイト
軍艦島コンシェルジュ WEBサイト
長崎県観光連盟 WEBサイト(ながさき旅ネット)

 今回のバスツアーは羽田発着、12名様限定の郵船トラベルオリジナルツアーです。九州一のラグジュアリーバスGRANDAYSに福岡空港から乗車、まずは嬉野温泉を楽しみ、翌日は長崎へ。軍艦島クルーズをご体験いただいた後、日本に9つしかないクラシックホテル、雲仙観光ホテルにお泊りいただきます。最終日は雲仙、小浜温泉などをお楽しみいただき、長崎空港からフライトを利用します。

✿2022年4月24日(日)▶4月26日(火) 3日間
軍艦島上陸ツアー付き ラグジュアリーバスで巡る 嬉野・雲仙の旅


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 今回は大型客船によるクルーズではありませんが、ゆとりの少人数の旅、ラグジュアリーバスでゆったり移動し、長崎での軍艦島クルーズも楽しんでいただくことができます。募集人数が少ないツアーですのでお早目のご検討をおすすめ申し上げます。

バスツアーや船旅にご興味のある方、ご旅行をご検討中の方、お問い合わせ・お申し込みは下記クルーズセンター、または郵船トラベルのホームページをご覧ください。 お待ちしております!!
■東 京☎ 03-5213-9987 
■神 戸☎ 078-251-6218 
■福 岡☎ 092-475-0011 
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投稿者名 emix-remix 投稿日時 2022年03月10日 | Permalink