日本の海の中ってどうなっているのでしょうか?~ドラマティックな東京都島嶼部探訪~

青ヶ島(画像提供:海上保安庁)


 約6,800もの島々で成り立っている日本列島の94%は無人島、とりまく海域はどのような様子になっているのでしょうか。日本は領海と排他的経済水域(EEZ)に深海域を多く含んでいます。日本の陸地の面積は世界第61位ですが、海の面積は世界第6位、日本の海域は深海が占め、海水を体積で換算すると世界第4位になるのです。

 日本列島の太平洋側の海底中央部には伊豆から約1,300kmの火山群の海嶺が連なり、島として存在するのは南硫黄島(無人島)までで、排他的経済水域の国境の島とも呼ばれてます。火山群の東側は日本海溝と名付けられ、水深7,000m以上の深さ。西側は最近なにかと話題の南海トラフで水深4,000m級。地球の平均水深が3,800mですので、日本列島は世界的にみて深い海に囲まれているのです。ちなみに環境省せとうちネットによりますと、多島美が美しい瀬戸内海の平均水深はわずか38m!日本海溝と比べると「水たまり」と言えるかもしれません。


日本の海底火山図(資料提供:海上保安庁)

 東京都は伊豆諸島と小笠原諸島に民間人が住む11の有人離島を持ち、この他に岩礁を含む無人島を多数所有し、これらの区域は東京都島嶼部(とうしょぶ)と呼ばれています。八丈島を含む伊豆七島は人気の観光地でもあり、訪れたことがある方も多いかと思います。
 訪れるためには船のチャーターかヘリを利用しなければならない二重式カルデラの「青ヶ島」、空港がないため東京から24間の船旅となる小笠原群島の「父島」など有人離島でありながら、同じ東京都でも便利とはとても言えない島もあります。
 これらの島々と岩礁は言うなれば海上から見える、“氷山の一角”。海の下には新たな陸地を生み出すエネルギーを秘めた急峻な火山が聳え、連なっているのです


伊豆鳥島(画像CC:ぱしふぃっく びいなすの船上より投稿者撮影)

 伊豆諸島の南端、かつては有人離島であり特別天然記念物アホウドリの繁殖地である「伊豆鳥島」は、膨大な数のアホウドリが生息していることが江戸時代、すでに知られていました。明治時代に羽毛採取のため乱獲が始まり、明治45年までに少なくとも500万羽のアホウドリが殺されたと考えられています。
 明治35年(1902)、伊豆鳥島は突然噴火し羽毛採取を行っていた島民125人全員の命が奪われてしまいました。当時、近くを航行していた日本郵船の船が大噴火を目撃し、救出のため島に接近したのですが、島民を一人も助けることができなかったそうです。そのため、この噴火は「アホウドリの呪い」と言われるようになったのです。追いかけられてもすぐに飛び立つことができないアホウドリは簡単に撲殺されていたそうですから、呪われても仕方ないのかもしれません・・・。


アホウドリ

 第二次世界大戦後、絶滅寸前だったアホウドリの保護活動が開始され、昭和40年(1965)の伊豆鳥島測候所(後の気象観測所)閉鎖により無人島となりました。現在、順調に繁殖しているようですが島には研究者や調査員以外は上陸することができません。クルーズ船が伊豆鳥島に接近する航路があれば、船上よりアホウドリの観察をされてはいかがでしょうか。
※アホウドリが生息する伊豆鳥島は一般的に鳥島と呼びます。沖ノ鳥島、南鳥島、沖縄県の鳥島(久米鳥島)と区別するため伊豆鳥島と明記しています。


孀婦岩(画像CC:ぱしふぃっく びいなす船上より投稿者撮影)


 伊豆鳥島の南約76kmの海上に忽然と孤高の姿を現すのは「孀婦岩(そうふがん)」。海上からの高さ100mほどで、ザトウジジラがジャンプしたような形をしています。この岩、実は海底から2,500mもある火山の頭頂部なのです。柱状節理も観察でき、第四紀火山(約180万年前から現在まで活動している火山)とされていますが詳細は不明です。


旧約聖書 創世記 第一章

 岩の名前の孀婦とは寡婦(やもめ)を意味します。1788年にイギリス帝国のジョン・ミアーズが付近を航行した際、この姿に超人的な力が働いていると感じ、「旧約聖書」創世記19章26節に記された「神の命に背き、後ろを振り返ったために塩の柱となったロトの妻(Lot's wife)」と名付けたそうです。これがその後意訳されて孀婦となったそうです。

 創世記19章には、神が悪徳と頽廃にまみれた街を天からの硫黄と火(火山の爆発?)により滅ぼされる経緯が描かれています。正しく生きるロトと家族だけは助けるが、その様子を振り返って見てはいけないと神はおっしゃったのでした。それでもロトの妻は街から逃げるときに振り返ったので、後々「女性は好奇心が強い」と言われるようになったとか。

 いかがでしたでしょうか。海上から見る島や岩礁はわずな姿なのですが、山登りをしなくても、実は火山の頭頂部を見ていることになります。このような秘島と呼ばれる海域に特化したクルーズは少なく、改めて東京都島嶼部の魅力を体感できる貴重な機会なのです。以下のクルーズで訪れることができます。

<ぱしふぃっく びいなす>
●4/26(火)▶4/28(木) The 秘島クルーズ ~鳥島・孀婦岩・伊豆諸島周遊~ 3日間

横浜~<終日航海>~横浜
☆2日目は青ヶ島、ベヨネーズ列岩、須美寿島、鳥島、孀婦岩沖を、3日目は伊豆諸島の神津島、式根島、新島、伊豆大島沖を航行します。
☆ゲストエンターティナーに俳優、歌手の黒沢年雄をお招きしています。

●6/20(月)▶6/25(土) 大阪発着 世界自然遺産 小笠原クルーズ ~ボニンブルー海へ~ 6日間 ※2/9発売
大阪~小笠原(父島)~<孀婦岩・鳥島沖クルージング>~大阪
OP父島からは南島海域公園ボート遊覧、小笠原固有植物観察、シーカヤックの体験などお楽しみいただけます。

 ぱしふぃっく びいなすの新型コロナウイルス感染症予防対策についてはお客様の安心、安全のため万全の体制を取っています。乗客数の制限を行っておりますので当面の間、ステートルームJの販売は休止いたします。
 原則として、ご乗船に際し、日本国内で承認された新型コロナウイルスワクチン接種をお済ませ下さい(2回以上接種し、かつ直近の接種日から15日以上が経過していることが必要です)。
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投稿者名 emix-remix 投稿日時 2022年01月05日 | Permalink