日本の中心は淡路島だった? ~神話に彩られた秘密を戎さまと探りましょう~

淡路島の伊弉諾神宮にある石碑(陽の道しるべ)


 世界地図を初めて見たとき、日本列島はなんて小さいのだろうかと驚きながらも「あれ、アフリカって九州に似てる?」「オーストラリアは四国みたい?」よくよく見ると本州こそユーラシア大陸なのでは、と思ったことはありませんか。

 明治時代の新宗教の開祖は「日本は世界のひな型である」と唱え、最近でもネット民の話題になったことがあります。つまり、世界の陸地をギュッと縮めると日本列島になるということのようです。それでは記紀(古事記、日本書紀)の国生み神話に登場し、日本で最初に生まれた島とされる淡路島は世界のどこに相当するのでしょうか。


キプロス島

 瀬戸内海が地中海に当てはまることは容易に想像できるので地中海の島を探してみました。淡路島あたりにある島はキプロス島、形もなんとなく似ています。なにより、この島にはギリシャ神話の最高神ゼウス以下12神が住まう宮殿があると言われているオリンポス山(ギリシャにもオリンポス山はあります)があり、天地創造の舞台として淡路島と符合する点があるようです。とはいえ、これは神秘家の間での一説に過ぎず、真偽は定かではありません。それでは古事記に描かれた日本の「国生み」の様子を見てみましょう。 


国生みをされる伊邪那岐、伊邪那美

 伊邪那岐(イザナギ)と伊邪那美(イザナミ)は高天原の神に大八島(日本列島)を造るように命じられました。まだ漂っていた大地を完成させるために天浮橋(あめのうきはし)に立ち、天沼矛(あめのぬぼこ)で混沌としていた大地を掻き混ぜると矛から滴り落ちたものが積もって淤能碁呂島(おのごろじま)となりました。
 ニ柱の神は淤能碁呂島に降り立ち「国生み」のため結婚の儀式を行います。ところが、最初は天の御柱(あめのみはしら)を左右から回り、出会ったところで女性神の伊邪那美から先に求愛の声をかけたため、不具の子である水蛭子(ヒルコ)が生まれ、葦船に乗せて海に流してしまったそうです。現代であれば、女性蔑視、育児放棄と糾弾されそうですが、神話なので仕方ありません。
 改めて伊邪那岐から求愛し無事に結婚が成立。その後、淡路島、四国、隠岐島、九州、壱岐島、対馬、佐渡島の順に次々と島を生み出し最後に本州ができたそうです。


上立神岩(沼島)

 おや、最初に二柱の神が降り立ったとされる淤能碁呂島はどこにあるのでしょうか。神話では最初に生まれた島は淡路島とされているのですが、淤能碁呂島のことではないようです。一説では淡路島の南の沖合、4.6kmに浮かぶ沼島(ぬしま)が淤能碁呂島ではないかと言われています。この島には高さ30mの上立神岩(かみたてがみいわ)という奇岩があり、これが二柱の神が結婚するときに回った天の御柱だと伝わっています。
 沼島は鱧の水揚げでとても有名な島。夏のシーズンになれば、南あわじ市の土生(はぶ)港から渡し船に乗り、沼島の鱧を食べにくる観光客でにぎわいます。

 さて、話は淡路島に戻ります。淡路島の中央には社格が高く、日本最古の神社(諸説あります)と言われている伊弉諾神宮が鎮座しています。その名の通り伊邪那岐の神をお祀りしているのですが、ここにはちょっとユニークな石碑があるのです。その名も「伊弉諾神宮を中心とした太陽の運行図(陽の道しるべ)」。口絵の画像をご覧いただくと一目瞭然、伊弉諾神宮を中心として、日本の主要な神社と神秘のラインで結ばれていたのです。
 東・・・伊勢皇大神宮(内宮)
 西・・・海神神社(対馬國一ノ宮)
 南・・・論鶴羽神社
 北・・・出石神社(但馬國一ノ宮)
 
 夏至・・・日の出の方向に熊野那智大社。日没の方向に高千穂神社
 冬至・・・日の出の方向に諏訪大社。日没の方向に出雲大社


戎舞(画像提供:淡路人形座)

 それがどうした、と思った方も多いかもしれません。ですが、日本建国当時、磁石も測量機器も、ましてやインターネットもドローンもない時代に日本を守る結界のように主要な神社が配置され、さらに淡路島が日本の中心であるかのごとく存在しているのはなんらかの、隠された意味があるのかもしれません。エネルギーが集中するパワースポットと感じる人も多いようです。

 それはさておき、葦の船で流された水蛭子が心配です。その後どうなったのでしょうか。安心して下さい、淡路人形座にゲストエンターテイナーとして出演されていました。海に流された水蛭子は摂津國(阪神間)に流れ着き、海を領する神「夷三郎殿」として西宮大明神となり祀られることになりました。そうです、あの福男の神事が行われる西宮神社です。1月9日の宵えびすの夜、神馬に乗った戎さまが市中を巡行されるとのことで、上を向いた松の葉で戎さまが傷つかないようにと「逆さ門松」を掲げるそうですから、大変大切にされているようです。


逆さ門松(西宮神社)

 淡路島では江戸時代初期から庶民の楽しみとして淡路人形浄瑠璃が演じられてきました。第二次世界大戦後、観客数の減少や財政難などにより継続が困難になりましたが、「郷土の古典芸能を守ろう」という気運が高まり昭和39年(1964)に「淡路人形座」が誕生、昭和56年(1971)に国指定重要無形民俗文化財として指定されました。それでは淡路人形座で人気の戎さまの演目をご紹介します。

<戎舞>

 戎さまが釣竿を担いでやってきました。庄屋さんはお神酒を出します。盃を飲み干した戎さまは、自分の生まれや福の神であることを話しながら舞い始めます。海の幸、山の幸を前にみんなの願いを叶えようと、お神酒を飲み、酔った戎さまは舟に乗り、大きな鯛を釣り、めでたし、めでたしと舞い納めるのでした。

 戎さまはみごと故郷の淡路島で凱旋公演を果たし、お住まいになっている西宮でも多くの信仰を集め、ご趣味の釣りに興じ、幸せに過ごしていらっしゃるようです。もし、淡路島に訪れる機会がありましたら、日本の中心ともいえる場所で海を守り、福を授けて下さる戎さまとともに楽しい時間をお過ごしになってはいかがでしょうか。
 郵船トラベルでは、飛鳥Ⅱに乗船後、ラグジュアリーバスのゆいプリマで淡路島を巡り、淡路人形座で「戎舞」を楽しむプランをご提供しています。皆様のご参加をお待ちいたしております。
✿2022年3月24日(木)▶3月27日(日) 横浜発/羽田・茨城・仙台着
 飛鳥II&ゆいプリマで行く 淡路島を巡る旅 4日間
 


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 まだまだ新型コロナウイルスの感染が収束していないのでご不安をお感じになられている方も多いかと存じます。飛鳥Ⅱの新型コロナウイルス感染症予防対策についてはお客様の安心、安全のため万全の体制を取っています。詳細は郵船トラベルにお問合せ下さい。

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投稿者名 emix-remix 投稿日時 2022年01月19日 | Permalink