現地レポート 雨の長崎
24日の夕方に快晴の鹿児島港を出港した飛鳥IIは、翌日宮崎県の日南(油津)に寄港したあと、次の寄港地である長崎へ…入港するはずだったのですが、なんと一度消えたはずの台風12号が復活台風として日本の南に接近。長崎にやってきてしまいました。
飛鳥IIは台風を避けるため、26日の日曜日に予定されていた長崎寄港を1日延期し、この日は九州南東部を航行して台風をやり過ごしました。
残念ながら長崎の市民祭花火大会も中止になってしまいましたが、客船クルーズの良いところは船がホテルでもあるので、このような場合でも台風を避けながら旅が続けられるところです。お客様には船の上でゆったりとした時間をお過ごしいただきました。スパやフィトネスが人気だったようです。心配された揺れはほとんど無かったとのことでした。
長崎では台風の日曜日、港の前の丘に建つ大浦天主堂が、翌日の朝に飛鳥IIが無事その優美な姿を見せてくれることを祈りながら、訪れる人もまばらな風雨の中ひっそりとたたずんでいました。
今回のクルーズのテーマは「明日の世界遺産にであう旅」。この大浦天主堂も「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」として世界遺産暫定リストに掲載されています。
大浦天主堂は正式名称を「日本二十六聖人殉教者天主堂」といい、150年前の1865年に創建された現存する日本最古のキリスト教建築物で、洋風建築として初めて国宝に指定されました。
日本二十六聖人とは、秀吉の為政の1597年2月に日本で最初の殉教者となった26人のキリシタンです。
殉教事件の発端は前年の1596年にフィリピンからメキシコに向かっていたスペインの商船「サン・フェリペ号」が土佐に漂着したことでした。取り調べを受けた航海士が「スペインは宣教師を派遣して信者を増やし、やがてその国を支配する」と述べたとされ、これに激怒した秀吉が各地で捕えた26人のキリシタンを長崎の西坂で処刑してしまったのです。大浦天主堂は、この日本二十六聖人に捧げられた聖堂です。
サン・フェリペ号が土佐に漂着した原因も台風でした。長崎の歴史に思いを馳せる台風の雨の日曜日でした。