クルーズでしか訪れることができない秘島の魅力、ドラマティックな東京都島嶼部をEEZ南端の南硫黄島まで、小笠原クルーズで探訪してみませんか
約6,800もの島々で成り立っている日本列島の94%は無人島、とりまく海域はどのような様子になっているのでしょうか。日本は領海、接続水域と排他的経済水域(EEZ)に深海域を多く含んでいます。日本の陸地の面積は世界第61位ですが、海の面積は世界第6位、日本の海域は深海が占め、海水を体積で換算すると世界第4位になるのです。
それでは今回は、小笠原クルーズで周遊することのある東京都島嶼部についてご案内します。まずは、領海等に関する用語を簡単にご説明しますのでお付き合いください(参考資料:海上保安庁 海洋情報部ホームページ)。
●領海
領海の基線からその外側12海里(約22km)の線までの海域で、沿岸国の主権は領海に及びます。ただし、すべての国の船舶は、領海において無害通航権を有します。
●接続水域
領海の基線からその外側24海里(約44km)の線までの海域で領海を除きます。沿岸国が、自国の領土又は領海内における通関、財政、出入国管理(密輸入や密入国等)又は衛生(伝染病等)に関する法令の違反の防止及び処罰を行うことが認められた水域です。
●排他的経済水域(EEZ)
領海の基線からその外側200海里(約370km)の線までの海域で領海を除きます。並びにその海底及びその下です。なお、排他的経済水域においては、沿岸国に一部の権利、管轄権等が認められています(詳細は海上保安庁のホームページ参照)。
日本列島の太平洋側の海底中央部には伊豆から約1,300kmの火山群の海嶺が連なり、島として存在するのは南硫黄島(無人島)までで、排他的経済水域(EEZ)の国境の島とも呼ばれてます。火山群の東側は日本海溝と名付けられ、水深7,000m以上の深さ。西側は最近なにかと話題の南海トラフで水深4,000m級。地球の平均水深が3,800mですので、日本列島は世界的にみて深い海に囲まれているのです。ちなみに環境省せとうちネットによりますと、多島美が美しい瀬戸内海の平均水深はわずか38m!日本海溝と比べると「水たまり」と言えるかもしれません。
東京都は伊豆諸島と小笠原群島に民間人が住む11の有人離島を持ち、この他に岩礁を含む無人島を多数所有し、これらの区域は東京都島嶼部(とうしょぶ)と呼ばれています。八丈島を含む伊豆七島は人気の観光地でもあり、訪れたことがある方も多いかと思います。
訪れるためには船のチャーターかヘリを利用しなければならない二重式カルデラの「青ヶ島」、空港がないため東京から24間の船旅となる小笠原群島の「父島」など有人離島でありながら、同じ東京都でも便利とはとても言えない島もあります。
これらの島々と岩礁は言うなれば海上から見える、“氷山の一角”。海の下には新たな陸地を生み出すエネルギーを秘めた急峻な火山が聳え、連なっているのです。離島の海底からの高さを測るのは地形が複雑なため容易ではなく、比高(注:海底の中の近くの平地と比べる)で表示されることが多いようです。最高峰地点の海上の高さは国土地理院地図を参考にしています。
伊豆諸島の南端、かつては有人離島であり特別天然記念物アホウドリの繁殖地である「伊豆鳥島」は、膨大な数のアホウドリが生息していることが江戸時代、すでに知られていました。明治時代に羽毛採取のため乱獲が始まり、明治45年までに少なくとも500万羽のアホウドリが殺されたと考えられています。
明治35年(1902)、伊豆鳥島は突然噴火し羽毛採取を行っていた島民125人全員の命が奪われてしまいました。当時、近くを航行していた日本郵船の船が大噴火を目撃し、救出のため島に接近したのですが、島民を一人も助けることができなかったそうです。そのため、この噴火は「アホウドリの呪い」と言われるようになったのです。追いかけられてもすぐに飛び立つことができないアホウドリは簡単に撲殺されていたそうですから、呪われても仕方ないのかもしれません・・・。
第二次世界大戦後、絶滅寸前だったアホウドリの保護活動が開始され、昭和40年(1965)の伊豆鳥島測候所(後の気象観測所)閉鎖により無人島となりました。現在、順調に繁殖しているようですが島には研究者や調査員以外は上陸することができません。クルーズ船が伊豆鳥島に接近する航路があれば、船上よりアホウドリの観察をされてはいかがでしょうか。
※アホウドリが生息する伊豆鳥島は一般的に鳥島と呼びます。沖ノ鳥島、南鳥島、沖縄県の鳥島(久米鳥島)と区別するため伊豆鳥島と明記しています。
伊豆鳥島の南約76kmの海上に忽然と孤高の姿を現すのは「孀婦岩(そうふがん)」。海上からの高さ99mで、ザトウジジラがジャンプしたような形をしています。この岩、実は海底から約2,500mと推定される火山の頭頂部なのです。柱状節理も観察でき、第四紀火山(約180万年前から現在まで活動している火山)とされていますが詳細は不明です。
岩の名前の孀婦とは寡婦(やもめ)を意味します。1788年にイギリス帝国のジョン・ミアーズが付近を航行した際、この姿に超人的な力が働いていると感じ、「旧約聖書」創世記19章26節に記された「神の命に背き、後ろを振り返ったために塩の柱となったロトの妻(Lot's wife)」と名付けたそうです。これが意訳されて孀婦となったそうです。
そして東京都心から約1,000km離れた小笠原(父島)よりさらに300km以上南下したところに、冒頭でご紹介したEEZ海域内の南端に国境の島「南硫黄島」があります。ここもれっきとした東京都、外観はピラミッド状、急峻な地形で最高標高は916m、伊豆諸島・小笠原群島の最高峰となります。原生自然環境保全地域に指定されいるので、全域が立入制限地区となっています。
南硫黄島と小笠原群島の間には、父島の南南西約200kmに位置する「北硫黄島」があります。海底火山の噴火浅根の上に出現し、山頂付近での火山活動が確認されていない島で、島の周囲はほどんどが断崖に囲まれ、波が高く、上陸は容易ではありません。現在は無人島となっていますが、太平洋戦争までは母島からの移住者が集落を作って居住していたそうです。
東京都の遺跡調査団により、8世紀~15、16世紀頃に残されたと見られる祭壇や墓地跡、石器や土器などの生活用品が発見されており、これらは本土の縄文・弥生文化とは異なっていることから、ミクロネシア文化圏の影響を受けているものと推定されています。歴史のロマンを感じる北硫黄島、今後のさらなる研究に期待ですね。
「硫黄島」は北硫黄島と南硫黄島の間にあり、いまだに火山活動が活発で、地熱が高く、島のいたるところに火山性ガス(二酸化硫黄)の噴気口があるため、その名の由来となりました。太平洋戦争末期にアメリカ軍が上陸し「硫黄島の戦い」で多くの両国兵士が戦死した激戦地で、米兵が星条旗をかかげる写真『硫黄島の星条旗』があまりに有名になり、ワシントンD.C.にある合衆国海兵隊記念碑のモデルとなりました。
現在、硫黄島には海上自衛隊と航空自衛隊の基地が置かれていて、基地関係者以外の立ち入りはできないそうです。
いかがでしたでしょうか。海上から見る島や岩礁はわずな姿、とはいえ山登りをしなくても、活動を続ける火山の頭頂部を見ていることになります。小笠原クルーズでは、伊豆鳥島や孀婦岩周辺を通航するのですが硫黄三島まで周遊するクルーズは少なく、父島での滞在とともに、東京都島嶼部の魅力を体感できる貴重な機会なのです。ぜひ、このようなクルーズがありましたらご参加してはいかがでしょうか。
※小笠原の観光情報は「小笠原村観光局」のホームページをご参照ください。
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