アフタヌーン・ティーの始まりはお腹がすいた公爵夫人のお蔭?~クイーン・エリザベスで優雅な午後のお茶を~



 6月14日のブログ、フィッシュ&チップスとエールをご紹介した記事をご覧いただいた方から2022年に日本を訪れる予定だったクイーン・エリザベスに乗船したいとの嬉しいご連絡を頂戴いたしました。残念ながら2022年のクルーズは中止となりましたが、2023年にクイーン・エリザベスは日本を訪れます。
 船上での英国式パブのおもてなしに、期待に胸を膨らませて下さっているのですが、如何せん、その方はお酒が1摘も飲めないとのこと。ご紹介させていただいた通り、パブはお酒のみならず、お食事やソフトドリンクも充実しているのですが、今回は英国といえば外せない、アフタヌーン・ティーについてお話いたします。今日の午後は薫り高い紅茶とお気に入りのスイーツをご用意してお付き合いください。


ベッドフォート公爵夫人アンナ・マリア・ラッセル
1820年ごろ

 19世紀初頭の英国、当時は貴族でもメインの食事は1日2回でした。朝食の後、午後8時頃に夕食を取るのが普通だったそうで、イングランドの大貴族、ベッドフォード公爵夫人、アンナ・マリア・ラッセルは「午後遅くになると(お腹が空いて)気が滅入る」と不満を漏らしていました。昼食もなしに午後8時の夕食となると、公爵夫人でなくともかなり辛いですね。
 
 日本でも江戸時代は1日2食、そのためにおやつ(午後2時頃、時刻を知らせる鐘が八つ鳴るのが語源)として、手早く食べられる蕎麦や鮨が発達したことは良く知られています。

 さて、お腹を空かせた公爵夫人はポットの紅茶とパンや小菓子を頂いて小腹を満たすことにしたそうです。彼女は友人を自宅に招き、おしゃべりを楽しみ、午後の社交習慣となりました。これは流行に敏感なロンドン貴族の女性たちの間でブームとなり、アフタヌーン・ティーは英国社会に浸透していきました。(キリンビバレッジのヒット飲料「午後の紅茶」のシンボル女性はベッドフォード公爵夫人がモデルだそうです)。
 その後、かのビクトリア女王も大規模なアフタヌーン・ティーを開催し「ティーレセプション」と呼ばれる正式な儀式となりました。
 それでは、紅茶が冷めないうちに、現代でもいただける伝統的なメニューをご紹介します。


Traditional Afternoon Tea Menu
(伝統的なアフタヌーン・ティーメニュー)


A selection of freshly prepared finger sandwiches
(作り立ての一口サンドイッチ)
Warm scones with clotted cream and preserves
(クロテッドクリームとジャムを添えた温かいスコーン)
A variety of home made cakes and pastries
(ホームメードケーキとペストリー)
Your choice from a range of teas
(お好みのお茶)
※シャンパンはオプションです

 さて、このような豪華なアフタヌーン・ティーをハイ・ティー(High tea)だと思っていませんか?Highは「高級な」という意味ではなくテーブルの高さに由来します。我々が通常アフタヌーン・ティーと呼ぶ、午後2時~4時頃にいただくものはロー・ティー(Low tea)で、元来ラウンジ・テーブルや客間の低いテーブルで提供されるものなのです。これにに対し、ハイ・ティーは午後5時~6時頃に食事用の高いテーブルで供され、夕方の喫茶であると同時に、事実上の夕食でした。紅茶や、サンドイッチなど簡素な軽食や菓子類のみならず、むしろ肉料理・魚料理が供される献立では、食事が主体なのです。


タイタニック3等客室のメニュー(筆者複製)

 何のために夕刻のハイ・ティーは供されていたのでしょうか?以前のブログでホワイト・スター・ラインについてご紹介しましたが、1912年のタイタニック最後の日の3等客室のメニューを見てみると、ありました!メニューの3番目に記載されているのは「TEA」です
 おや、BREAKFAST(朝食)の次はDINNER(夕食?)そしてTEA、SUPPERと続きます。ちなみに、1等客室のメニューは、朝食、昼食、夕食と別々に配布され、書ききれないほどの豪華なメニューでした。
 3等客室の乗船者は労働者階級だったので、彼らの食習慣から昼食時間に提供される食事がディナー(メインの食事)とされ、ボリュームのある内容だったそうです。

 そうしたことから、夕食に当たる時間帯にはTEAと呼ばれる比較的軽い食事を取っていたそうです(赤字)。それでも、冷製の肉、チーズ、ピクルス、イチジクとライスの煮込みなどが提供され、SUPPER(お夜食)もあったので食事の不満を言う乗客はいなかったとか。


 現代のクイーン・エリザベスでは伝統的なアフタヌーン・ティーを毎日午後3時30分からクイーンズ・ルームで開催しています。時にハープの音色に耳を傾けながら白手袋をしたウェイターによるお茶やお菓子のサービスで優雅なひと時をお過ごしいただけます。大変人気がありますのでお早目にお席を確保してください。
 また、クルーズの後半に1度だけ、ガーデンラウンジ(予定)でのローラン・ペリエ・シャンパン&アフタヌーン・ティーもお楽しみ頂けます(別料金)。こちらは三段重ねのトレーでのサービスですので気分も盛り上がりますね。

 クイーン・エリザベスは2023年に続き、2024年も3月~5月にかけて日本に寄港し、東京発着で6クルーズ設定しています。2023年はお蔭様でほぼ完売、2024年は人気のグリルクラスのお部屋もまだお取りできます。ぜひ、ご予約ご検討ください。


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英国の伝統と格式あるクイーン・エリザベス、日本にいながらにしてアフタヌーン・ティーお楽しみ頂ける旅に出かけてみませんか?
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投稿者名 emix-remix 投稿日時 2021年06月24日 | Permalink

クイーン・エリザベスの原点 ~タイタニックから受け継いだ海の安全とホワイト・スター・サービス~


タイタニックの乗船券 裏面には名前、客室クラス、部屋番号の他、旅行目的も記載されていました。


 映画史に残る不朽の名作「タイタニック(1997年)」が2021年5月に2度に分けてTVで放映されました。公開からすでに24年、主人公と同じ年ごろの、公開当時まだ生まれていなかった若い方々はご覧になって胸をときめかせ、涙したのではないでしょうか?

 日本で多くの人が知る有名な外国客船といえば、ホワイト・スター・ライン(1845年創立)が所有していた悲劇の「タイタニック」。そして、キュナード・ライン(1839年創立)が現在も運航する「クイーン・エリザベス」。この二つの会社、とても深いつながりがあるのです。
 1840年、キュナード・ラインは初の英国とアメリカ合衆国の間に1番船「ブリタニア」を就航させ、オーシャン・ライナーという北大西洋横断定期航路を開発しました。ホワイト・スター・ラインも続いて運航を開始し、彼らは航空機が台頭するまでの約100年間、物流、旅客運送の担い手として活躍、北大西洋を横断する速さのみならずサービスでも二社は激しく競っていました。


タイタニック 46,328トン 全長269.1m


 そんな中、処女航海としてサウサンプトンからニューヨークに向かっていたタイタニックは1912年4月14日未明、氷山に激突し、海の藻屑となりました。乗客、乗務員2,225名の内、1,513名が犠牲となる20世紀の海難史に残る事故でした。
 一等客室には貴族や政治家、企業経営者などが、二等客室には中産階級が、そして三等客室には労働者階級が新天地を求め、米国への移民として乗船していました。犠牲者の多くが三等客室の乗客であったことは映画が描く通りだったようです。
 この後、ホワイト・スター・ラインは第一次世界大戦の影響もあり、徐々に経営が悪化し、王室郵船への売却を経て、1934年キュナード・ラインに吸収合併されました。栄光のホワイト・スター・ラインは事実上消滅となったのです。

 ホワイト・スター・ラインは多くの事を残しました。タイタニックの海難事故をきっかけとして、救命ボートの数、モールス信号の国際統一など、救助のあり方が見直され、1914年に海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS)が作られました。現在、クルーズ船に乗船すると24時間以内の避難訓練が義務付けられていますが、この条約によるもので、今も海の安全を守っています。


WHITE STAR SERVICE の縫い取りを付けたキュナードのシェフ


 さて、現在のキュナードの船に乗船すると「WHITE STAR SERVICE」という縫い取りや赤地に白い星の社旗を胸に付けたスタッフに出会います。これはキュナード・ラインが行っているサービスのトレーニング「ホワイト・スター・アカデミー」を受講した証なのです。

 観光のためのクルーズ船ではなかったホワイト・スター・ラインですが、サービスの良さで定評があり、三等客室でも美味しい食事を提供していたそうです。キュナード社はホワイト・スター・サービスを敬意を込めてLegendary Elegant Memorable(忘れがたい伝説的なエレガント)と呼び、これを現代に受け継ぎ、人生で一度は乗船してみたい客船と評される、「クイーン・エリザベス」にも生かされています。
 さて、ホワイト・スター・サービスとは何なのか、ホワイト・スター・アカデミーで学ぶ12の理念をご紹介します。*原文は英語


アフタヌーンティーで優雅なひとときを

1.私たちは微笑みます。私たちは常に脚光を浴びています。
2.私たちは正しいボディーランゲージを使用します。
3.私たちはシミひとつない清潔な外見です。
4.同僚をサポートし、支援します。
5.私たちはお互いを個人として尊重します。
6.私たちは常にゲストや同僚に前向きです。
7.私たちは船とサービスに精通しています。
8.お客様の期待を超えます。
9.私たちはサービス・スタイルの形式を維持します。
10.適切な電話エチケットを使用します。
11.ゲストエリアでは常に英語を話します。
12.私たちは決してノーとは言いません。私たちは代替案を提供します。

 あれ、こんな事はラグジュアリークルーズなら当たり前じゃないか、と思った方もいらっしゃるかもしれません。いえいえ、ホワイト・スター・ライン、そしてキュナード・ラインが長年かけて培ったサービスの原点が現代のすべてのクルーズ船に継承されている、という事かと思われます。

「クイーン・エリザベス」
は2023年に続き、2024年も季節の良い3月から5月にかけて日本発着にて6クルーズ実施します。日本にいながらにして英国の伝統と格式あるエルガンスを体験することができます。早期申込特典やお1人旅の特典のあるコースも設定。人気のグリルクラスもお取りすることができます。ぜひ、郵船トラベルへお問合せください。


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投稿者名 emix-remix 投稿日時 2021年06月01日 | Permalink