日本郵船の絵葉書から(Vol.2)
「こんなものもありますが・・・」と言って何やら大切そうに広げて見せていただいたのは「汽船号」という山口幸助廻船問屋の商船取り扱い一覧表でした。
「汽船号」なる言葉は初めて聞きましたが辞書で検索しても出てきません。さらに、戦前の客船の当時のメニューやデッキプランなどがファイル数冊分に収蔵されていました。
一番驚かされたのは昭和13年10月、旧日本海軍の造兵少佐黒田捨三氏が日本郵船「箱根丸」で日本からマルセイユに向かった時の船内記録のファイルでした。黒田氏は大変几帳面な性格だったようで乗船前に宿泊した旅館の領収書に始まり、電報文や船内のデッキプラン、スケジュール、メニュー、船内アクティビティプログラムなど毎日船内で配られた資料が1冊のファイルにまとめられていたことです。当時の船内の様子を知る上でも大変貴重な資料で、博物館の学芸員が見たら泣いて喜ぶに違いありません。(続く)