ガンツウで訪れる“瀬戸内国際芸術祭2022” ~甦る近代化産業遺産、犬島の新たなる出発~


瀬戸内海を航行するガンツウ <画像提供:株式会社せとうちクルーズ>


奈良ホテル・三菱重工長崎造船所・神戸港 
 冬の奈良ホテル、本館に泊まりたいとフロントで伝えるとスタッフは少し困惑した顔・・・「本館の暖房設備は古く、ご迷惑をおかけするかもしれません、ですので新館にご案内いたします」との返答。「古いスチームをお使いなのは存じております、それでこそ泊ってみたいのです(※1)」。半ば強引にお願いし、迎賓館のような真っ赤な絨毯が敷かれ、赤膚焼の陶製擬宝珠が飾られた木製の階段をのぼり、約100年も前に開業した部屋での宿泊となったのです。


奈良ホテル本館2階(Wikimedia Commons)

 場所は変わり、1990年の三菱重工長崎造船所、日本郵船が戦後初めて発注した客船、クリスタル・ハーモニー(現飛鳥Ⅱ)がまさに日本における新しいラグジュアリークルーズの先駆けとして船出を迎えていました。6月23日に引き渡され、その後、神戸港新港第一突堤で最初のお披露目が行われました。


クリスタル・ハーモニー(1990-2006)

観光産業の近代化に貢献
 奈良ホテル、三菱重工長崎造船所、神戸港・・・この共通点はなんだと思いますか。これらはすべて経済産業省が定めた「近代化産業遺産」なのです(※2、※3)。産業遺産というと、軍艦島や三池炭鉱、八幡製作所など連想し、過去の遺物と思いがちです。エネルギーを石油に依存する前、炭坑(石炭)と製鉄が日本の近代化の担い手であったことは間違いないのですが、奈良ホテルを代表するクラシックホテルも「外貨獲得に寄与した」ということで、観光産業の近代化に貢献したのです。現在も創業当時の雰囲気を大切に守り、訪れる旅人をどこか懐かしい気持ちにさせてくれます。クルーズも、造船技術革新や港湾整備により、恩恵を受けているのです。


犬島精錬所美術館 写真:阿野太一

犬島製錬所の再生と変貌
 岡山市の唯一の有人離島、犬島(いぬじま)は島民わずか50名弱(2020年11月時点)、周囲3.6kmの小さな島で、岡山県南東部、宝伝港の沖合にポツンと浮かんでいます。
 1909年(明治42年)に銅の製錬所が開業し、最盛期には5,000人以上が居住していたそうです。銅は岡山県の帯江銅山で採掘されたものが運びこまれ、『犬島製錬所』で銅鉱石の処理が行われていました。日本の産業近代化に貢献したものの、銅の価格暴落などにより、1919年(大正7年)、わずか10年で操業停止に追い込まれました。


 長らく廃墟となり放置されていた犬島製錬所遺構は2008年、犬島アートプロジェクト『精錬所』として保存・再生され「美術館」として生まれ変わりました(犬島アートプロジェクト『精錬所』は2013年3月に『犬島精錬所美術館』に名称を変更)。既存の煙突やカラミ煉瓦の活用、太陽や地中熱などの自然エネルギーを利用した環境に負荷を与えない三分一博志(さんぶいち ひろし)の建築と、現代美術家の柳幸典(やなぎ ゆきのり)による作品「ヒーロー乾電池」は日本の近代化に警鐘をならした三島由紀夫をモチーフにしています。また、植物の力を利用した高度な水質浄化システムを導入し、自然環境に配慮した美術館なのです。


犬島精錬所美術館 写真:阿野太一

現代と過去の間に
 それでは「犬島精錬所美術館」を訪れてみましょう。宝伝港からフェリーで10分、犬島港から海沿いを南へ徒歩数分、すぐ目に飛び込んでくるのが煉瓦造りの煙突。ところどころ剥がれ落ちた黒い煉瓦の道をすすむと煉瓦の壁の合間にガラスの建物が見えてきます。現代と過去が入り混じった不思議な空間を作っています。整備された「犬島精錬所美術館」の建築は、地形、近代化産業遺産、自然エネルギーを活用することで犬島という環境の絶え間ない自然のサイクルの一部、地球のディティールの一部として変化、成長していく施設であるといえます。
 美術館の内部を鑑賞後、当時の姿を残す製錬所跡を散策、煙突は折れているものもあり、屋根を失った資材置き場はローマ時代の遺跡にも思えます。かつて製錬事業を支えた発電所は草木に覆われ、時間の経過を感じさせます。
 1984年、派手な爆破シーンで人気を博したTVドラマ『西部警察』の最終回ロケが行われたと聞き納得、渡哲也が演じた大門刑事殉職の壮絶なシーンにお似合いの様相です。

犬島散歩
 製錬所跡でタイムスリップし、郷愁に浸った後は犬島の集落を散策します。「F邸」「S邸」「I邸」「A邸」「C邸」と「石職人の家跡」、犬島「家プロジェクト」として点在するこれらのギャラリーは、かつて建っていた民家の瓦屋根や古材、透明なアクリル、周囲の風景を映し出すアルミなど多様な素材でつくられています。カラフルであったり、不思議であったり、お洒落であったりと、それぞれ全く異なる作品は小さな集落を彩り、居住する島民の方も楽しんでくださっているようです。


犬島「家プロジェクト」A邸 ベアトリス・ミリャーゼス「Yellow Flower Dream」2018 写真:井上嘉和


 この他にも人びとの交流のきっかけとなるような作品やイベントを展開するプロジェクト「INUJIMAアートランデブー」も始まりました。アーティスト大宮エリーによる触れることもできる「フラワーフェアリーダンサーズ」はこのプロジェクトひとつ目の作品で、今後も展開されていくそうです。犬島の草花が踊る広場で誰かとランデブー=待ち合わせ、ときに休憩をしながら犬島を散策してはいかがでしょうか。


※1奈良ホテルの本館の暖房は改装され、現在スチームではありません。
※2三菱重工長崎乗船所の近代化産業遺産に認定されているのは旧木型場、第三船渠などです。
※3神戸港で近代化産業遺産に認定されているのはメリケン波止場、神戸港新港などです。


「ガンツウ」で犬島へ、瀬戸内国際芸術祭2022を体験
 大型船で訪れることは難しく少し不便なこの島へ、ガンツウならスピードボートで直接島へ上陸、快適に本年開催されている瀬戸内国際芸術祭2022の作品を楽しむことができます。瀬戸内国際芸術祭は直島を中心に、今回ご紹介した犬島の他、豊島、女木島、男木島などで作品掲示されています。


ガンツウのエントランス<画像提供:株式会社せとうちクルーズ>


 せとうちアートの島を満喫する「アート航路」は2022年は2回だけ、貴重な機会をお見逃しなく。9月出発のクルーズはふたつのクルーズを連続乗船し、添乗員が同行する郵船トラベルオリジナルツアーで登場。道後温泉で最もラグジュアリーな旅館のひとつ「別邸 朧月夜」での宿泊、広島県のアートの島、生口島や美しい広大な敷地と白隠コレクションでも知られる神勝寺を訪れます。「洸庭」というインスタレーション作品をご体験いただけます。添乗員同行ツアーはわずか8名様までの募集、少人数でお楽しみいただきます。お急ぎお問合せください。添乗員同行ツアーの詳細はこちらのブログをご参照ください。

2022年8月2日(火)▶8月5日(金) 尾道発着
玉野沖・玉野沖・詫間湾錨泊 4日間


●2022年9月10日(土)▶9月16日(金) 羽田発/横浜・東京着
【添乗員同行】“ガンツウ”で瀬戸内海を漂うように過ごす、人生最高の旅
道後温泉「別邸 朧月夜」宿泊 せとうちの海の道を辿り、アートの島を満喫 7日間


 ガンツウを個人で乗船される場合、広島県尾道市にあるベラビスタマリーナの出港・帰港となります。JR福山駅または広島空港までの往復送迎サービスは、乗下船日当日に限り、事前予約制にてご利用いただけます(追加代金なし)。また、ベラビスタ スパ&マリーナ尾道での前泊、後泊の手配も承ります。

 郵船トラベルオリジナルツアーの添乗員は羽田空港から同行いたしますが、ガンツウ船内は船のスタッフがお世話いたします。詳細はパンフレットでご確認ください。


クリックするとパンフが開きます。

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■東 京☎ 03-5213-9987 
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投稿者名 emix-remix 投稿日時 2022年06月30日 | Permalink