ガンツウで訪れる“瀬戸内国際芸術祭2022” ~水が育むうるわしの豊島、命の記憶~


ガンツウとスピードボート <画像提供:株式会社せとうちクルーズ>


美術館は代表作だけを鑑賞するところ?
 美術館というとどこを思い浮かべますか?パリのルーブル美術館、ニューヨークのメトロポリタン美術館、台北の国立故宮博物院・・・これらに共通するのは膨大な展示品を丁寧に鑑賞するのなら1日では難しく、予備知識と健脚力も必要なようです。


『翠玉白菜』国立故宮博物院
Wikimedia Commons

 そこで遠方から訪れる旅行者は代表的な作品、『モナリザ』『ミロのビーナス』、ゴッホの『自画像』やモローの『オイディプスとスフィンクス』、清朝の彫刻作品『翠玉白菜』『肉形石』をなんとか探し当て、人垣の間から眺め、満足して帰路につくのでした。ではモナリザの部屋にあった他の作品は?覚えている人は少ないかもしれません。


美術館との遭遇
 2010年、初の瀬戸内国際芸術祭が開催された年、小豆島と直島の間にある島民わずか1,000名(当時)の小さな島に豊島(てしま)美術館がオープンしました。“美術館”という名がついているので、どんな作品が展示されているのだろかと想像しながら、直島の宮浦港から四国汽船のフェリーに乗り、20分の短い船旅を終え豊島の家浦港に降り立ちます。


豊島美術館 写真:森川昇

 家浦から島の東側にあるもうひとつの港、唐櫃(からと)行の町民バスで、なだらかな丘陵地帯を登り、豊島美術館の最寄りのバス停で降りるとそこは田園地帯、瀬戸内海と整備された棚田がもたらす美しい景観が広がります。
 美術館はどこかと周囲を見渡すと雑草群の中に真っ白の巨大なUFOらしきものが目に飛び込んできます。訪問者は吸い込まれるようにそれに向かうのですが・・・。

命の水が育む環境・建造物・作品の一体化
 豊島美術館が誕生した要因には豊島の自然環境が大きくかかわっています。豊島に降る雨は花崗岩、凝灰岩、安山岩を通して浄化され、島の中央にそびえる標高約330mの壇山(だんやま)に蓄えられ、おいしい水となってふもとの集落に届けられます。壇山のすそ野の唐櫃岡集落には、弘法大師が掘り当てたと伝わる湧き水「唐櫃の清水(からとのしみず)」があり、現在も枯れずに湧き出ていて、まさに町民の“命の水”なのです。


豊島美術館 写真:鈴木研一

 さて、豊島美術館は冒頭でご紹介した有名美術館のように数々の作品が展示されているわけではありません。アーティスト・内藤礼(ないとう れい)と建築家・西沢立衛(にしざわ りゅうえ)がこのような豊島の自然環境を取り込みながら作り上げた美術館です。建造物のみならず、空間そのものも作品で、内部に静かに身を置くと、自然との融和を感じ、生きる喜びを感じ、鑑賞者も作品と一体化する至高体験ができるのです。今まで思っていた美術館の概念を覆す、想像を超えた作品なのです。
※現在、入場は予約制となっています。

生きた証を保存(アーカイブ)
 豊島美術館を後にし、再び町民バスに乗り一駅、終点の唐櫃港から歩くこと15分、「心臓音のアーカイブ」は穏やかな波が打ち寄せる静かな浜辺に佇んでいます。ところで心臓の音、聴いたことがありますか?医師であれば職業柄他人の心音を確認するでしょうけれど、自分自身の音を聴く聞く機会は少なそうです。


クリスチャン・ボルタンスキー「心臓音のアーカイブ」写真:久家靖秀


 アーティスト、クリスチャン・ボルタンスキーはパリで生まれ、ユダヤ系であったため、ナチス・ドイツのユダヤ人大量虐殺のおぞましい歴史を目の当たりにしました。そのため、生と死、記憶などがテーマのインスタレーションを多様な手法で発表してきました。
 「心臓音のアーカイブ」はボルタンスキーが集めた世界中の人々の心臓音を恒久的に保存し、それらの心臓音を聴くことができる美術館で、ご自分の心臓音をここで採録し、CDブックとして持ち帰ることもできるのです(入場料とは別に登録料がかかります)。
 ここで聴く心臓音、とても個性があって一人一人異なることに驚かされます。この音が正に生きた証となるのだと感じざるを得ないのです。


豊島横尾館 写真:山本糾

「ガンツウ」で豊島へ、瀬戸内国際芸術祭2022を体験
 ご紹介した以外にも、ボルタンスキーの「ささやきの森」、アーティスト・横尾忠則と建築家・永山祐子による「豊島横尾館」など島のあちこちに作品が展示されています。島の風景と自然を体感しながら作品を探してみてはいかがでしょうか。


 大型船で訪れることは難しく少し不便なこの島へ、ガンツウならスピードボートで直接島へ上陸、快適に本年開催されている瀬戸内国際芸術祭2022の作品を楽しむことができます。瀬戸内国際芸術祭は直島を中心に、今回ご紹介した豊島の他、犬島、女木島、男木島などで作品掲示されています。


ガンツウのスピードボート<画像提供:株式会社せとうちクルーズ>


 せとうちアートの島を満喫する「アート航路」は2022年は2回だけ、貴重な機会をお見逃しなく。9月出発のクルーズはふたつのクルーズを連続乗船し、添乗員が同行する郵船トラベルオリジナルツアーで登場。道後温泉で最もラグジュアリーな旅館のひとつ「別邸 朧月夜」での宿泊、広島県のアートの島、生口島や美しい広大な敷地と白隠コレクションでも知られる神勝寺を訪れます。「洸庭」というインスタレーション作品をご体験いただけます。添乗員同行ツアーはわずか8名様までの募集、少人数でお楽しみいただきます。お急ぎお問合せください。添乗員同行ツアーの詳細はこちらのブログをご参照ください。

2022年8月2日(火)▶8月5日(金) 尾道発着
玉野沖・玉野沖・詫間湾錨泊 4日間


●2022年9月10日(土)▶9月16日(金) 羽田発/横浜・東京着
【添乗員同行】“ガンツウ”で瀬戸内海を漂うように過ごす、人生最高の旅
道後温泉「別邸 朧月夜」宿泊 せとうちの海の道を辿り、アートの島を満喫 7日間


 ガンツウを個人で乗船される場合、広島県尾道市にあるベラビスタマリーナの出港・帰港となります。JR福山駅または広島空港までの往復送迎サービスは、乗下船日当日に限り、事前予約制にてご利用いただけます(追加代金なし)。また、ベラビスタ スパ&マリーナ尾道での前泊、後泊の手配も承ります。

 郵船トラベルオリジナルツアーの添乗員は羽田空港から同行いたしますが、ガンツウ船内は船のスタッフがお世話いたします。詳細はパンフレットでご確認ください。


クリックするとパンフが開きます。

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■東 京☎ 03-5213-9987 
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投稿者名 emix-remix 投稿日時 2022年06月30日 | Permalink