日本のいいとこ ~金沢の割烹カウンターで過ごすの夜~


 BS-TBSで2003年から放送されている「吉田類の酒場放浪記」という番組、ご存じでしょうか。イラストレーターで俳人の吉田類(よしだるい)が東京を中心に各地の酒場を巡ります。1回15分の放映時間で巡るお店のほとんどが個人経営、東京という街中の、その地域に密着した地元の方の為の居酒屋です。このわずか15分で不思議とそのお店にいるような楽しい気分にさせてくれます。
 今回ご紹介するのは、東京でもなく、居酒屋でもない金沢の割烹。えらい違いだと思わないでください。門構えも店内もお料理も、まさに割烹なのですが、吉田類が紹介するお店に通じることは、個人経営でけっして敷居が高くなくて、訪れる人を幸せな気持ちにさせてくれる憩いの場所であることです。


夜の犀川大橋、かなり立派です。

 金沢は日本海に流れる浅野川と犀川の間に金沢城や兼六園があり町の中心として発達しました。犀川大橋から香林坊に至る国道157号沿いにある繁華街、片町は居酒屋や割烹などの飲食店が集結する「金沢夜の顔」。金沢駅からは2.5kmほど。ホテルが多い百万石通り沿いからなら1km程度です。さて、今宵は片町へでかけてみましょう。


暖簾をくぐった先には・・・

 割烹「桶田」は繁華街の喧騒が嘘のような静かな路地にあり、そばにはかつて金沢の物流を担っていた大野庄用水が流れ風情ある雰囲気。今は暗渠になっている場所もありますが、犀川に流れはつながっています。
 
 予約をしているとはいえ、最初はちょっとドキドキしながら暖簾をくぐり、格子戸を開けると「いらっしゃいませ」という明るいご主人の声。すっきりとした店内でまず目に飛び込むのは9席のカウンター。ちょっと早かったのかまだ誰もいませんが、促されるままに端の1席を陣取ります。
                                                      

 初めての割烹のお店のカウンター、ましてや歴史ある金沢ともなれば誰しも緊張してしまいますがこのお店ならそんな心配は無用。親子での家族経営とのことでとてもアットホームな雰囲気です。その日のおすすめが書かれた手書きのお品書きからご主人と相談しながらお料理を出して頂きます。


レンコンのすり流し

 まずは日本海の新鮮な刺身の盛り合わせを頂き、そしてレンコンのすり流し(はす蒸し)。桶田自慢の一品で、金沢らしく金箔がちりばめられています。まったりしたあんのお出汁もいいお味。お料理は美しく盛られ、九谷焼など目にも美味しくしてくれる器の数々も楽しめます。同じお料理でも、いつも同じ器で出すことはしないそうで、季節感も出しているようです。
 
 そして、なんと言っても金沢に来たら食べてみたいのが甲箱蟹(こうばこがに)。オスのズワイガニは冷凍をスーパーでも手に入れることができますが、メスの甲箱蟹は水揚げされる時期も限られ(11月6日から12月29日にかけてのみ)地元以外でお目にかかれる機会はめったにありません。筆者はラッキーにもこの時期に訪れたようです。
 このお店の近くには金沢おでんで名高い行列必至のお店「赤玉」の本店があるのですが、ここでも1番人気は、かに面(かにつら)のおでん。地元の人も、季節になれば甲箱蟹を楽しみます。


甲箱蟹、卵を食べてしまってからの撮影です(汗)


 ご主人の軽妙なおもてなしと石川県の地酒ですっかりいい気分になった筆者は食べることに夢中になり、肝心の「のどぐろの味噌焼き」を撮影し忘れてしまいました。後に知ったことですが、ご主人は金沢一と言われた料亭「つる幸(惜しまれつつ2018年に閉店)」で焼きの桶田と呼ばれた職人さん。こちらのブログでものどぐろについてご紹介しましたが、高価なのどぐろを最高の状態で焼いてくれました。皮は味噌とあいまって香ばしく、身は適度に脂が落ちてぷりっとした触感です。

 すっかり夜もふけ、おなかも心も満たされお店を出ました。ちなみにこのお店、お品書きにはお値段が書かれていません。これも初めてなら緊張してしまうことなのですが、同じお料理内容でもし東京なら・・・恐らく倍くらいのお値段ではないかと筆者は推察します。金沢の人が「毎日行きたい」と、とても人気のあるお店とのことで、必ずご予約の上訪れて下さい。
*画像はすべて2019年以前に撮影したものです。


 旅先の気楽なランチも楽しいですが、金沢に訪れることがあれば、是非夜のお料理もお楽しみください。白山の伏流水が流れ込む豊な海で育まれた鮮魚、美味しい水がもたらすお米、野菜、お酒など食材の宝庫で歴史とともに培われた高いお料理の技術や美意識がともに整う場所は日本でも数少ないと思われます。
 以下のクルーズが金沢発着です。金沢は観光場所も充実しているので前泊、後泊してゆっくりお過ごしになるのもおすすめです。運航スケジュールは変更になる場合もありますので郵船トラベルにご確認下さい。

✿2021/7/26-7/28 飛鳥Ⅱ 夏の北前航路 境港・金沢クルーズ 2泊3日
 門司-境港-金沢
✿2021/7/28-7/30 飛鳥Ⅱ 夏の北前航路 酒田・函館クルーズ 2泊3日
 金沢-酒田-函館
✿2021/9/26-10/1 飛鳥Ⅱ 秋の日本一周Aコース 5泊6日
 横浜-函館-能代-金沢
✿2021/10/1-10/6 飛鳥Ⅱ 秋の日本一周Bコース 5泊6日
 金沢-門司-鹿児島-横浜

 まだまだ新型コロナウイルスの感染が収束していないのでご不安をお感じになられている方も多いかと存じます。飛鳥Ⅱの新型コロナウイルス感染症予防対策については4月12日4月15日4月21日の各ブログをご覧ください。また、にっぽん丸の対策についてはこちらの動画をご覧ください。いずれも詳細は郵船トラベルにお問合せ下さい。

船旅にご興味のある方、ご旅行をご検討中の方、お問い合わせ・お申し込みは下記クルーズセンター、またはコース詳細の【旅行代金・お申込み】から!! お待ちしております!!
■東 京☎ 03-5213-9987 
■神 戸☎ 078-251-6218 
■福 岡☎ 092-475-0011 
無料パンフレット請求はこちらからどうぞ!!


投稿者名 emix-remix 投稿日時 2021年05月07日 | Permalink

日本のいいとこ ~日本海の贈り物、金沢でいただく「のどぐろ」~


 日本人は旬を迎えれば必ず1度は食べてみたい高級魚類がありますよね。京都なら冬はぐじ(甘鯛)や松葉ガニ、夏は鱧。季節が過ぎると店頭から姿を消し、また次の年を待ちます。この待ち遠しい気持ちがまた美味しく感じられるのかもしれません。
 さて、今回は都市部でも人気急上昇中の高級魚「のどくろ」について調べてみました。のどぐろの正式名称はアカムツ(赤鯥)で青森県から山口県にかけての日本海側で幅広く水揚げされる魚です。価格はかなりの高額、一般的なサイズは1匹200gで2,000円もします。黒毛和牛くらいの値段なのですが、肉と異なり魚は可食部は半分以下の95g(衝撃です)。さらにサイズが大きくなれば価格率も上がります(例:一匹400g~600gは約7,000円)。


気楽に手が出せる値段ではありません(涙)

 このように高価なのどくろですが、意外にも旬はなく、1年中一定量を捕獲されていることもあり、取引価格も通年、あまり変わらないそうです。価格が下がらない理由のひとつが養殖できないこと。人工授精、人工ふ化の研究はされているのですが、非常に難しく、商業ベースにのっていないのが現状です。


のどぐろの一夜干し

 金沢を訪れたら食べてみたいと思うのが人情、とはいえ高額だと知ってしまったらむむ、躊躇しつつもなおさら頂きたくなりますよね。
 お魚好きなら行ってみたい場所は近江町市場冬になれば松葉ガニが店頭に並び地方発送も出来るので大賑わいですが、鮮魚を旅行中に購入するのは憚るならのどぐろの一夜干しがおすすめ。小ぶりのものなら安価で購入できます。近江町市場には人気の海鮮丼や鰤のカマ焼きなど新鮮な魚介類を出す飲食店も併設しています。のどぐろは気楽なお店の握り寿司で一貫400円~500円位。またゆっくり味わうなら金沢の片町には素敵な割烹のお店も多く日本海の海の幸を使った洗練されたお料理をお楽しみ頂けます。

 さて、のどぐろはなぜこんなに人気なのでしょう。のどぐろは「白身のトロ」とよばれるほど、とにかく脂がのった魚です。刺身や鮨の表面はテカテカしていて、口に入れると、とろけるような味わいです。皮を少し炙ると香ばしさがでてさらに美味しくなります。生でも焼き魚でも美味しく、調理方法はあまり選びません。薄造りはしゃぶしゃぶもおすすめです。脂っぽい魚なので酢橘の爽やかさがお似合い、ちょっと絞ってお召上がり下さい。


 筆者はのどぐろを何度も食したわけではなく、地元ではほんの2回だけ。富山の寿司屋(最後の1貫でした)、金沢の片町の割烹で焼き魚、いずれもほんの一口でした。後ろ髪をひかれつつ、金沢から帰路につくとき、駅でみつけました!炙りのどぐろの棒寿司、ひとつ1,600円です。家に持ち帰るのも待ちきれず、帰りの列車でぺろりと食べてしまいました。のどぐろは肉厚ではありませんが、炙っているので香ばしく冷めても美味。また表面にはうっすら昆布が乗っているのですが、昆布がまろやかな味わいにしてくれます。のどぐろだけを食べるとかなりしっかりとした脂ののった風味を楽しめます。列車の中でしたのでビール片手にいただきましたが、日本酒のほうがお似合いですね。金沢は駅弁も充実していて、香箱蟹や甘えび、金沢牛のお弁当など美味しそうなものがいっぱい。また、季節を変えて金沢を訪れたいと思いました。


炙りのどぐろの棒寿司

 金沢に訪れることがあれば、お寿司屋さんや割烹で、是非のどぐろをご賞味下さい。お店に立ち寄る時間がなければ炙り棒寿司を駅で購入されてはいかがでしょう。以下のクルーズが金沢発着です。金沢は観光場所も充実しているので前泊、後泊してゆっくりお過ごしになるのもおすすめです。運航スケジュールは変更になる場合もありますので郵船トラベルにご確認下さい。

✿2021/7/26-7/28 飛鳥Ⅱ 夏の北前航路 境港・金沢クルーズ 2泊3日
 門司-境港-金沢
✿2021/7/28-7/30 飛鳥Ⅱ 夏の北前航路 酒田・函館クルーズ 2泊3日
 金沢-酒田-函館
✿2021/9/26-10/1 飛鳥Ⅱ 秋の日本一周Aコース 5泊6日
 横浜-函館-能代-金沢
✿2021/10/1-10/6 飛鳥Ⅱ 秋の日本一周Bコース 5泊6日
 金沢-門司-鹿児島-横浜

 まだまだ新型コロナウイルスの感染が収束していないのでご不安をお感じになられている方も多いかと存じます。飛鳥Ⅱの新型コロナウイルス感染症予防対策については4月12日4月15日4月21日の各ブログをご覧ください。また、にっぽん丸の対策についてはこちらの動画をご覧ください。いずれも詳細は郵船トラベルにお問合せ下さい。

船旅にご興味のある方、ご旅行をご検討中の方、お問い合わせ・お申し込みは下記クルーズセンター、またはコース詳細の【旅行代金・お申込み】から!! お待ちしております!!
■東 京☎ 03-5213-9987 
■神 戸☎ 078-251-6218 
■福 岡☎ 092-475-0011 
無料パンフレット請求はこちらからどうぞ!!


投稿者名 emix-remix 投稿日時 2021年05月06日 | Permalink

日本のいいとこ ~現代アートは最も身近?金沢21世紀美術館と新しい船出~

レアンドロ・エルリッヒ<スイミング・プール> 金沢21世紀美術館蔵 写真提供:金沢市


 現代アート?なんだかはやってますね。現代アートを展示している有名な美術館といえば、都内なら東京都現代美術館(1995年)、大阪は国立国際美術館(1977年万博公園内に創立、2004年に大阪市内に移転)、国公立ではありませんが、直島のベネッセハウスは1992年にオープンしました。
 意外と昔からあったのだと思いませんか?ですが、年代にかかわらず、実際に世間に認知されたのは比較的最近のような気がします。以前はこれらの美術館に行くと観覧者は若い人、アートを目指す学生が多くて熟年層はあまり見かけませんでした。鑑賞者の幅が広がった要因はいくつかあるとは思いますが、その一つは2010年より開催された瀬戸内国際芸術祭。直島を中心に周辺の島々にて開催された屋外型のアートサイトです。島の住民にも好評でトリエンナーレ(3年に1度)として開催されています(次回は2022年に開催予定)。クルーズ船のオプショナルツアーで訪れたかたもいらっしゃるかと思います。   


撮影:石川幸史
提供:金沢21世紀美術館

 瀬戸内国際芸術祭がきっかけに、各地でも同様の屋外型アートサイトが開催されるようになり、アートは旅行の目的地となりました。今まで、現代アートって縁遠い、なにがなんだかよくわからないと思っていたかたも、美しい風景とともに、旅のワンシーンとして楽しんでいらっしゃるようになったと思います。
 さて、伝統と格式、工芸品、古い町並みの残る京都と同様、日本で最も人気の観光地のひとつ金沢。代表的な観光名所は兼六園、金沢城などですが、すぐ近くに2004年に開館したのが金沢21世紀美術館です。せっかく金沢に来たのに現代アート?って思っても、足を運んでみて下さい。とにかく気持ちのいい場所ですから


ヤン・ファーブル<雲を測る男>1998
©Angelos bvba 金沢21世紀美術館蔵
撮影:中道淳/ナカサアンドパートナーズ 
提供:金沢21世紀美術館

 芝生の中央にある美術館は円形で全面ガラス張り。4方向から入場が可能で屋外にも無料で鑑賞できる作品も多く、開放的な空間が広がります。建物に入る前に屋上に備え付けられた詩的なタイトルを持つ「雲を測る男」をご覧ください。「終身犯」という映画から着想を得た作品です。
 そして、建物に入ると中にはなぜかスイミング・プールが。なにやら上から眺めている人がいますが・・・。そして、あれれ、プールの中に人がいます。興味をそそられ、この美術館に訪れたら、誰しもどうなっているのか知りたくなります。


 これはレアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」という作品。果たしてどのような構造になっているのか・・・体験してみてのお楽しみです。
 スイミング・プールの中からきらきら光る水を見上げていると、筆者は小学生のとき、夏休みに行われたプール教室を思い出します。初めて水の中で目を開けたとき、見たことのないゆらめく青い空と雲、太陽がとても印象的でした。ノスタルジーを感じる不思議な空間です。


パトリック・ブラン<緑の橋>2004 金沢21世紀美術館蔵
撮影:中道淳/ナカアンドパートナーズ 提供:金沢21世紀美術館

 館内をうろうろしていたら、なぜか森林に出会います。美術館の中なのに鬱蒼と茂る森が??それはパトリック・ブランの「緑の橋」という作品です。この緑、造花ではありません。金沢の四季折々の植物が生き生きとした姿で鑑賞者を迎えてくれます。作者は植物学者で植物の生きざまを来訪者に問いかけています。金沢21世紀美術館は季節ごとに違った姿で観覧者をお出迎えしてくれるのです。


日常のあわい 提供:金沢21世紀美術館

 今回ご紹介したのは恒久展示作品で、いつ訪れてもご覧いただくことができます。展覧会も定期的に行われており、「日常のあわい」展が9月26日まで開催されています。これは新型コロナウイスルなどにより失われそうな日常をもう一度見直そう、という展覧会です。普通の家族の幸せとはなにか、を問いかけてくれるのです。
 現代アートがなにができるか?現代アートは道楽ではありません。一番の目的は「固定観念の打破」だと筆者は考えています。こうあるべき、こうしてもらって当然、そういった観念から自分を解き放し、開放感に満ちた幸福感を改めて感じてもらえたら、もっと自由に、愛情深く生きることができるのでは?と、作品は語りかけているのかもしれません。

 もし、あなたがクルーズ未経験だったら船旅に新しい世界を見出す可能性があります。もしよければ、年齢に関係なく、新たな、自分を船出してみませんか?

 金沢に訪れることがあれば、金沢21世紀美術館で思ってもいなかった驚きとの出会う旅に出かけませんか?以下のコースが金沢に寄港します。
✿2021/6/2-6/4  にっぽん丸 門司/鳥取/金沢クルーズ 2泊3日
 門司-鳥取-金沢
✿2021/6/4-6/6 にっぽん丸 輪島クルーズ 2泊3日
 金沢-輪島-金沢
✿2021/7/26-7/28 飛鳥Ⅱ 夏の北前航路 境港・金沢クルーズ 2泊3日
 門司-境港-金沢
✿2021/7/28-7/30 飛鳥Ⅱ 夏の北前航路 酒田・函館クルーズ 2泊3日
 金沢-酒田-函館
✿2021/9/26-10/1 飛鳥Ⅱ 秋の日本一周Aコース 5泊6日
 横浜-函館-能代-金沢
✿2021/10/1-10/6 飛鳥Ⅱ 秋の日本一周Bコース 5泊6日
 金沢-門司-鹿児島-横浜

 まだまだ新型コロナウイルスの感染が収束していないのでご不安をお感じになられている方も多いかと存じます。飛鳥Ⅱの新型コロナウイルス感染症予防対策については4月12日4月15日4月21日の各ブログをご覧ください。また、にっぽん丸の対策についてはこちらの動画をご覧ください。いずれも詳細は郵船トラベルにお問合せ下さい。また、各美術館の営業については開館状況をご確認の上、お越し下さい。

船旅にご興味のある方、ご旅行をご検討中の方、お問い合わせ・お申し込みは下記クルーズセンター、またはコース詳細の【旅行代金・お申込み】から!! お待ちしております!!
■東 京☎ 03-5213-9987 
■神 戸☎ 078-251-6218 
■福 岡☎ 092-475-0011 
無料パンフレット請求はこちらからどうぞ!!


投稿者名 emix-remix 投稿日時 2021年04月28日 | Permalink

日本のいいとこ ~能登の暮らしに溶け込んだ合鹿椀(ごうろくわん)~


 マンガ盛りって聞いたことがありますよね。マンガ日本昔話によく登場する、ご飯がお茶碗や丼にうず高く盛られている、あれです。
 本来の言い方は「てんこ盛り」。この「てんこ盛り」状態が一番似合うのが今回ご紹介する合鹿椀(ごうろくわん)です。画像をご覧いただくと、「あ、時代劇でよく見かけるお椀だ」と思いますよね。でもこのお椀、奥能登の旧柳田村で村の生活の中から自然発生的に作られた生活用品のひとつなのです。奥能登といえば、誰しも知る輪島塗が有名ですが、こちらは石川県を代表する工芸品として沈金や蒔絵が施され豪華絢爛をいう言葉がふさわしい逸品です。この輪島塗のルーツが素朴な合鹿椀であるという説もあるそうです。
 さて、この合鹿椀の一番の特徴はお椀の足にあたる高台(こうだい)が高いこと。高台が高いということは、さぞ偉い方に献上するために作ったのでは、と思いがちなのですが、実は真逆。お椀を直接床や土間に置いて食事したり、漁場なら船上で、あるいは田畑などの屋外で農作業の合間に食事をするためにこのような安定したお形状になったそうです。


昔話にでてきそうな奥能登の旅館

 筆者と合鹿椀との出会いは奥能登の珠洲市に旅したときのこと、周囲にはなにもない、林の奥にある趣ある旅館で客室は3部屋。冬場は雪に埋もれて休業し、お料理は素朴な田舎料理ながら洗練されている・・・。なにより合鹿椀の器が美しく黒漆器に炊き立てご飯が映える素晴らしいしつらえでした。この旅館、旧柳田村より約24km離れた場所にあります。
 合鹿椀に一目ぼれした筆者は金沢に戻り、石川県の工芸品を扱う「しいのき迎賓館」のセレクトショップで探したところ、ありました!ところが、とても気軽に購入できるお値段ではありません。泣く泣くあきらめ帰路につきました。


一汁三菜に松茸ごはんの朝食

 合鹿椀のふるさと、旧柳田村(現能登町)は周囲を鉢伏山や宝達山に囲まれ、木地師と呼ばれる職人が多く存在しました。村には欅(ケヤキ)の木が茂り、合鹿椀の材料となりました。下地には灰を混ぜた柿渋を塗り、その上に生漆(きうるし)を塗って仕上げます。当初は生活用品として作られた器はその後、ハレの日用としてお嫁入道具となりました。現在のように結婚式の披露宴をホテルで行う、なんてことのない時代、家庭に親戚縁者を招き、合鹿椀で宴会をした風景が目に浮びます。

 石川県はどちらかと言うと華やかな銘品、輪島塗、加賀友禅、金沢箔、九谷焼などが有名なのですが、合鹿椀のように庶民の生活用品から発達した素朴で用の美をもつ工芸品もあることを知り、改めて文化意識の高さに敬服しました。このお椀は通販でも購入できるのですが、ひとつ4万円くらいします。高価ではありますが、あくまで生活の器でとても丈夫。日常的にお使いになることで、人生を豊かにしてくれそうです。

 工芸品の宝庫、金沢、輪島に訪れて、あなただけの逸品に出会う旅に出かけませんか?以下のコースが金沢、輪島に寄港します。
✿2021/6/2-6/4  にっぽん丸 門司/鳥取/金沢クルーズ 2泊3日
 門司-鳥取-金沢
✿2021/6/4-6/6 にっぽん丸 輪島クルーズ 2泊3日
 金沢-輪島-金沢
✿2021/7/26-7/28 飛鳥Ⅱ 夏の北前航路 境港・金沢クルーズ 2泊3日
 門司-境港-金沢
✿2021/7/28-7/30 飛鳥Ⅱ 夏の北前航路 酒田・函館クルーズ 2泊3日
 金沢-酒田-函館
✿2021/9/26-10/1 飛鳥Ⅱ 秋の日本一周Aコース 5泊6日
 横浜-函館-能代-金沢
✿2021/10/1-10/6 飛鳥Ⅱ 秋の日本一周Bコース 5泊6日
 金沢-門司-鹿児島-横浜

 まだまだ新型コロナウイルスの感染が収束していないのでご不安をお感じになられている方も多いかと存じます。飛鳥Ⅱの新型コロナウイルス感染症予防対策については4月12日4月15日4月21日の各ブログをご覧ください。また、にっぽん丸の対策についてはこちらの動画をご覧ください。いずれも詳細は郵船トラベルにお問合せ下さい。

船旅にご興味のある方、ご旅行をご検討中の方、お問い合わせ・お申し込みは下記クルーズセンター、またはコース詳細の【旅行代金・お申込み】から!! お待ちしております!!
■東 京☎ 03-5213-9987 
■神 戸☎ 078-251-6218 
■福 岡☎ 092-475-0011 
無料パンフレット請求はこちらからどうぞ!!


投稿者名 emix-remix 投稿日時 2021年04月23日 | Permalink